このブログでは、トランシットによる「スタジア測量」の計算方法についてお話しします。
高低差のある土地を、巻尺やレベルを使わずに、トランシットとスタッフで、水平距離と高さを測ることができます。
スタジア測量
スタジア測量とは、望遠鏡内にある上スタジア線と下スタジア線を使い、スタッフの値を㎜単位で読み取ります。
そのスタジア線から読み取った値と鉛直角度を使って計算し、水平距離や高低差を求める測量です。
精度はやや低めですが、地盤線を測量する「横断測量」などに使えます。
最近はトータルステーション(TS)での測量が主流なので、スタジア測量を知っている人も少なくなってしまいました。

レベルとスタッフを使った距離の測定方法はこちらを参考にしてください。
実際に計算してみよう
実測した数値を入力して、水平距離「L」、高低差「D」を計算します。
- 上スタジア=2.609
- 下スタジア=2.317
- 鉛直角度A=19°50’30”
- スタジア乗定数K=100
- スタジア加定数C=0
- 器械高 i=1.130
- 視準高 Z=2.463
トランシットやレベルの望遠鏡は、「スタジア乗定数K=0、スタジア加定数C=0」と設計されています。

水平距離「L」の計算
$$H=上スタジアー下スタジア=2.609-2.317=0.292$$
$$h=HcosA=0.292×cos19°50’30″=0.27467$$
$$l=Kh+C=100×0.27467+0=27.467$$
$$L=lcosA=27.467×cos19°50’30″=25.836$$
高低差「D」の計算
$$d=lsinA=27.467×sin19°50’30″=9.323$$
$$D=d+i-Z=9.323+1.130-2.463=7.990$$
したがって、
水平距離「L=25.836m」、高低差「D=7.990m」
となります。

おわりに
レベルや巻尺を使わずに、距離と高低差を求める「スタジア測量」を解説しました。
トランシットを覗くと見える「上スタジア線」と「下スタジア線」で、スタッフの数値を読みます。
トランシットで鉛直角度を読み、三角関数を利用して水平距離と高低差を計算します。
高い精度は期待できませんが、地盤線を測る横断測量などができます。
最近の測量では使う機会がありませんが、測量の基本となります。
知識として頭の片隅に置いておきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
