【後方交会法】2点からの「器械点座標」計算手順を分かりやすく解説

「後方交会法」の計算方法について解説します。
2つの既知点(座標点)から、任意の位置に据付けたトータルステーション(TS)の位置(座標)を関数電卓で使って計算します。
この測量方法は、丁張設置などの現場測量におススメです。

測量
トータルステーション(TS)を任意の場所に据付け、器械点「KP」とします。
既知点「T1」を視準し、水平角度を「0セット」します。そして水平距離「b」を測定します。
次に既知点「T2」を視準して、水平角度「A」と水平距離「c」を測定します。

誤差の確認
測量した水平距離と水平角度から「T1」と「T2」の座標間の距離「a」を「余弦定理」で計算して求めます。
その結果と、座標の値を「三平方の定理」で計算した「a」と、どのくらい誤差があるのかを確認します。

測量した距離と角度からT1~T2間「a」を算出
T1からT2までの水平距離「a」を、測量で実測した水平距離「b」「c」と水平角度「A」から算出します。
算出方法は「余弦定理」です。
$$a^2=b^2+c^2-2bc cosA$$
この公式に測量した値を代入します。
$$a^2=141.080^2+128.251^2-2×141.080×128.251×cos101°12’20″$$
$$a^2=36351.885401-36187.30216×cos101.20555556$$
$$a=208.289$$
したがって、T1~T2までの距離「a」は208.289mとなりました。
座標からT1~T2間「a」を算出
「T1」と「T2」の座標値から「三平方の定理」で「a」を算出します。

T1(162.671,21.429)とT2(88.922,216.225)のそれぞれ「X」と「Y」の差を計算します。
$$T1X-T2X=162.671-88.922=73.749$$
$$T1Y-T2Y=21.429-216.225=-194.796$$
「X」と「Y」の差から三平方の定理で「a」を算出します。
$$a^2=x^2+y^2$$
$$a=\sqrt{73.749^2+194.796^2}$$
$$a=208.289$$
したがって、T1~T2までの距離「a」は208.289mとなりました。
誤差
現地を測量した値から「余弦定理」で算出した値と、座標値から「三平方の定理」で算出した値の差が「誤差」になります。
- 余弦定理で求めた値 a=208.289m
- 三平方の定理で求めた値 a=208.289m
- 誤差 0.000m
となりました。
誤差が大きい場合は、器械点の位置を後視点(T1,T2)の位置関係が2等辺三角形に近くなるようにし、夾角が90度から120度の間に収まるようにしましょう。
挟角が狭すぎたり広すぎたりすると、誤差が大きくなります。
器械点「KP」の座標計算
器械点「KP」のXY座標を求めていきましょう。
最初に角度「B」か「C」を正弦定理で算出します。
今回は「C」を計算してみましょう。

角度「C」の計算
角度Cを正弦定理を使って算出します。
$$\frac{a}{sinA}=\frac{c}{sinC}$$
$$\frac{208.289}{sin101°12’20”}=\frac{128.251}{sinC}$$
$$\frac{128.251}{208.289}sin101.2055556=sinC$$
$$C=37.156746975=37°9’24″$$
線「a」の方向角「D」の計算
方向角「D」を計算するには、方向角「D」=d+90度からなるので、角度「d」を三角関数で算出します。

したがって、【方向角D=110°44′11″】となります。

線「b」の方向角「E」の計算
角度「C」と方向角「D」を合わせて、線「b」の方向角「E」を計算します。

したがって、線「b」の方向角「E」は147°53′35″となります。

器械点「KP」の座標計算
方向角「E」から器械点「KP」の座標を計算します。

角度「F」を求めて、三角関数で「KPx」と「KPy」を算出しましょう。
最初に角度「F」から求めます。
$$F=180°-E=180°-147°53’35″$$
$$F=32°6’25″$$

次にKPyを求めます。
$$sinF=\frac{KPy}{b}$$
$$sin32°6’25″=\frac{KPy}{141.080}$$
$$KPy=74.984$$
したがって「KPy」=74.984mとなりました。
続いてKPxを求めます。
$$cosF=\frac{KPx}{b}$$
$$cos32°6’25″=\frac{KPx}{141.080}$$
$$KPx=119.503$$
したがって、「KPx」=119.503mとなります。

最後に基準となった「T1」のXY座標から「KPx」と「KPy」をそれぞれ加えて「KP」の座標を算出しましょう。
「KPx」は下向きなので「ー」、「KPy」は右向きなので「+」とします。
$$KPのX座標=162.671-119.503=43.168$$
$$KPのY座標=21.429+74.984=96.413$$

したがって、器械点「KP」の座標は
KP(43.168,96.413)
となります。

おわりに
このブログでは後方交会法の計算方法についてお話ししました。
「後方交会法」は2点の既知点(座標点)から任意に据付けした「器械点の座標」を求める測量です。
この測量は後視2点までの角度と距離を使って計算するので、計算上の誤差を含む可能性があります。
土工事などの現場測量に利用して、正確さを要する構造物などの測量は、座標点に器械を設置して測量することをおススメします。
今回使用した公式は「正弦定理」「余弦定理」「三平方の定理」「三角関数」の4つになります。
皆様の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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