舗装【平坦性試験】の測定方法・計算方法をわかりやすく解説
このブログでは、アスファルト舗装やコンクリート舗装の出来形管理で必須項目である「平坦性」についてお話しします。
このブログを最後まで読んでいただけると、3mプロフィルメータによる平坦性の測定方法、測定位置、そしてデータの計算方法までわかるようになっています。
舗装路面の平坦性測定とは
平坦性試験の目的は、車両の走行における乗心地に影響を与える道路の縦断方向の凹凸の度合いを評価するものです。
平坦性測定の種類
車道舗装の平坦性を測定する方法が3種類あります。
- 3mプロフィルメータ
- 3m直線定規
- 路面性状測定車
このブログでは現場の出来形測定で使用する「3mプロフィルメータ」について解説します。
3mプロフィルメータ
3mプロフィルメータは前後に配置する基準台車により基準面を形成します。
この基準台車を1本の基準台枠で連結し、その中央部に路面の凹凸によって上下する測定車輪があります。
この測定車輪の動きを折れ線グラフのような「波形」で記録していきます。
今では「測定車輪」の代わりに「非接触型の変位計」を使っているものもあります。
測定方法「3mプロフィルメータ」
- 測定区間の起点と終点の間を踏査して、起点及び終点の位置を確認するとともに、橋梁取付部、マンホールなどの平坦性測定に障害となる構造物の位置を確認します。
- 路面のゴミや小石をホウキやブロアーなどで清掃します。
- 測定開始点と測定終了点の間を通常の歩行速度でプロフィルメータをけん引して舗装路面の凹凸を記録します。
測定位置
1車線につき1本の測定線を、区間の起点から終点まで連続して測定車線の中心線に沿って平行に設けます。
下の図のように、車線の中心から1m離れた地点(車のタイヤが通る部分)をむずび、中心線に平行する2本のいずれか一方を測定します。
2車線以上の車線がある場合は各車線を測定します。
舗装の表層の厚さや舗装の材質ごとに測定します。
平坦性測定の必要な延長
平坦性の測定は、測定の対象とする区間の長さによってその精度が変化します。
同じ現場を、短く測定した場合と長く測定した場合では、測定区間を短くした場合は平坦性が大きく、測定区間を長くした場合は平坦性が小さくなります。
精度の良い平坦性の測定値を得るためには、区間長を100m以上とする必要があります。
データの整理・計算方法
現場で測定した平坦性のデータは、表層の厚さ及び材質が同一である区間、又は測定延長100m~300mに分けて整理します。
記録用紙に記録された波形から、高低差を「1.5m」間隔で読み取ります。
区間ごとに標準偏差を計算し、小数点第3位を四捨五入し小数点第2位にまとめます。その際、障害となるマンホール等のデータは除外します。
標準偏差の公式
$$σ=\sqrt{(Σd^2-(Σd)^2/n)/(n-1)}$$
標準偏差とは、データの散らばり度合いを示す値。
散らばりが小さいと「0」に近づきます。
平坦性試験結果報告書をExcelで作成しました。
よかったらダウンロードして使ってみてください。
記録用紙1枚「№1~№100」は1.5mピッチで150m分のデータが記録できます。
2枚で300m分のデータです。
「d」は基準線0から±何mm凹凸があるのかのデータです。
「偏差」になります。
「d2」は偏差dを二乗したものです。
dの合計とd2の合計そしてデータ数を使って標準偏差を計算します。
$$σ=\sqrt{(225.54-(30.8)^2/196)/(196-1)}$$
$$σ=\sqrt{(225.54-4.84)/(195)}$$
$$σ=\sqrt{(220.7)/(195)}$$
$$σ=\sqrt{1.1317948717948}$$
$$σ=1.06$$
したがって、標準偏差は1.06㎜となります。
終わりに
路面の平坦性試験について説明しました。
測定方法は、現場を踏査して、測点や障害物を確認して、3mプロフィルメータを歩く速さでけん引します。
測定位置は、車線の中心線から1.0m離れた法線(車のタイヤが通る部分)を、各車線毎、表層の厚さ、合材の材質毎に測定します。
測定に必要な延長は100m以上でなければ標準偏差が大きくなってしまいます。
データ整理について、平坦性試験結果報告書をExcelで作成しましたのでダウンロードして使ってみてください。
このブログが皆様のスキルアップにつながれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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