【盛土丁張】の掛け方|1:1.8「法面丁張」の計算方法を分かりやすく解説
このブログでは、「盛土丁張」の掛け方を図を使いながら分かりやすくお話ししております。
盛土丁張は「高低差」と「勾配」から「水平距離」を求めて設置します。
【水平距離=高低差×法勾配】
例として、下の横断図のような盛土工事の丁張を設置してみましょう。
この横断図は、センターから左側のみです。右側は省略しています。
盛土の計画高を「FH=100.000m」
センターから法肩までを8.0m
小段(ステップ)の高さを「FH=95.000m」
小段幅を2.0m
法勾配は1:1.8(一割八分)です。
1:1.8(一割八分)は高低差「1」に対して水平距離「1.8」の勾配です。
法勾配
土木の法勾配は下の図のように呼びます。
高低差1.0mに対して、水平距離が0.5mや1.0mで呼び方が変わります。
幅杭の設置
最初に「幅杭」を横断方向に2~3点ほど設置します。
幅杭を設置する位置は、設計図書などの横断図を参考に、盛土開始ポイント(法尻)付近に設置します。
平坦な地形であれば、小段との高低差に法勾配を掛け算して水平距離を計算し、おおよその法尻の位置を出してから、盛土の外側になるように杭を設置します。
2点以上設置する理由は、丁張の向きを横断方向に正しく設置するためです。
センター杭から左側に「25.0m」と「27.0m」の2本を設置しました。
一緒に幅杭の標高も測量(水準測量)して地盤高を計算しておくと、これから紹介する計算方法で法尻の位置がおおよそわかります。
丁張杭と横板(水平貫)の設置
先ほど測量した幅杭の標高を基にして、「法尻」となる近く(盛土の外側)に、「丁張杭」を0.5~1.0mほど離して2本打込みます。
2本の杭のどちらかを1本の頭(天端)を水準測量して、標高を求めます。
例えば丁張杭天端の標高が91.872mだったとすると、杭天端から0.072m下に横板を水平に取り付けます。
横板の標高 H=91.872-0.072=91.800mとします。
計算しやすいように、丁張の「横板」から「盛土計画高さ」までの高低差を、区切りの良い数値になるよう0.100m単位で設置するのがポイントです。
上端にする理由は、法丁張を掛けるのに作業しやすいからです。
丁張の横板(水平貫)が計画高より8.2m下に掛かりました。
盛土計画高が100.000m、丁張の横板の高さが91.800mで、高低差が8.200mです。
また、小段の計画高95.000mからの計算でも問題ありません。
1:1.8(いちわりはちぶ)の計算
高低差と法勾配から「水平距離」を計算しましょう。
計画盛土高ー丁張高=高低差なので「FH=100.000mー91.800m=8.200m」となります。
法勾配が「1:1.8」の場合、「高低差1に対して1.8倍」が水平距離となります。
したがって
8.200×1.8=14.760m
となります。
法尻までの水平距離の計算
先ほど計算した「14.760m」にセンターから法肩までの8.000mと小段(ステップ)の2.000mを足します。
センターから法尻までの水平距離=14.760+8.000+2.000=24.760m
となります。
法丁張の設置
計算した結果、丁張高91.800mの場合のセンターから法尻までの水平距離は「24.760m」なので、センターから25.0mの幅杭から、0.240mセンター側にスライドして24.760mの位置を丁張に印をします。
次に、印を基準に1:1.8の板を設置します。
1:1.8は「スラント」で角度を合わせて、下の図のように板を打ち付けて盛土丁張の完成です。
丁張には、測点・丁張の標高・法長・法勾配を表示しましょう。
おわりに
盛土丁張の掛け方についてまとめます。
- 法勾配は高低差「1」に対して水平距離が1.5や1.8で呼び方が変わります。(いちわりごぶ・いちわりはちぶ)
- 最初に法尻付近に幅杭を2~3点設置します。
- 幅杭付近の地盤高をもとにして、法尻位置をおおよそ計算して、盛土より外側に丁張杭を2本打込みます。
- 丁張杭の天端を水準測量して計画高との高低差が10㎝単位になるように横板を設置します。
- 計画高と丁張の高低差と法勾配から水平距離を求めます。
- 法勾配は「高低差」が基準となっていますので、高低差に法勾配を掛け算(×)して「水平距離」を求めましょう。
- 幅杭から法尻ポイントを横板に印します。
- 印を基準にスラントなどを使って1:1.8の法丁張を設置して完成です。
以上となります。
このブログが皆様のお役に立てればとても嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
切土丁張についてはこちらのブログを参考にしてください。
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