建設業の見積書に欠かせない「法定福利費」とは?意味と計算方法をわかりやすく解説!

建設業界で見積書を作成する際、「法定福利費」という項目を見かけたことはありませんか?
「これって何?」「どうやって計算するの?」と思った方も多いはず。
今回は、法定福利費の意味と計算方法について、建設業の現場目線でわかりやすく解説していきます!
法定福利費とは?
法定福利費とは、事業者が法律に基づいて負担しなければならない、労働者のための社会保険料のことです。
具体的には、以下の4つが対象となります。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険(元請一括加入)
これらは労働者の安心・安全な働き方を支えるためのものであり、会社が必ず支払うべきコストとされています。
なぜ見積書に法定福利費を記載するの?
建設業界では、これまでの総額表示だけの見積書ではなく、労務費に含まれる「法定福利費」を明確に内訳として示すことが義務化されています。
これは、社会保険未加入問題への対策の一環でもあり、国や自治体の発注工事では特に重要視されています。
法定福利費を明確に内訳に示すことで、
- 適正な価格設定
- 労働者の保護
- 社会保険加入の促進
を目的としています。
労務費総額の確認方法について
法定福利費を計算するためには、まず労務費総額を正しく把握する必要があります。
労務費総額は、通常、工事積算用のアプリやシステム(例:積算ソフト、電子積算システム)を使って簡単に確認できます。
工種別に労務費がまとめられているため、積算データから労務費総額を取り出すのが基本です。
労務費総額とは、作業員や技術者の賃金総額のことです。
そこに法定福利費率(%)を掛けて算出します。
ただし、労務費総額を直接算出するのが難しい場合もあります。
その場合は、**厚生労働省が公表している「労務費率表」**を参考にすることも可能です。

労務費率表とは、労務費が工事費全体に占める割合を示した基準表です。
この率を使えば、おおよその労務費総額を推計することができます。
年度や工種によって異なりますので、最新版を確認しましょう。
法定福利費の計算方法
一般的な計算式は、以下の通りです。
法定福利費 = 労務費総額 × 法定福利費率
労務費総額が300,000円の場合
法定福利費率を**15.463%**と仮定すると…
→ 300,000円 × 0.15463 = 46,389円
この46,389円が、見積書に記載する「法定福利費」となります。
※ 実際の費率は、加入している社会保険や雇用保険の種類、年度によって変動しますので注意が必要です。
法定福利費率の目安(参考)
項目 | 法定保険料率 | 事業者負担割合 | 40~64歳 従業員割合 | 法定福利費 算出に用いる料率 |
---|---|---|---|---|
健康保険料(県別) | 9.75% | 50% | 4.875% | |
厚生年金保険料 | 18.30% | 50% | 9.15% | |
雇用保険料 | 0.65% | 0.65% | ||
介護保険料 40歳~64歳 | 1.60% | 50% | 53.50% | 0.428% |
子ども・子育て 拠出金 | 0.36% | 0.36% | ||
法定福利費率合計 | 15.463% |
合計すると、概ね15〜16%前後になる場合が多いです。


介護保険料は40歳以上65歳未満の方が対象となります。
見積時に具体的な対象者の人数がわかっていないため、協会けんぽの被保険者全
体に占める40~64歳の割合(53.5%)を用いています。

厚生年金保険の保険料率は、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月を最後に引上げが終了し、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。
子ども・子育て拠出金については事業主が全額負担することとなります。
子ども・子育て拠出金率(令和2年4月1日~ 適用) …0.36%
まとめ
建設業の見積書において、「法定福利費」はただの付け足しではありません。
労働者を守り、社会保険加入を促進するための大切なコストです。
正確な労務費総額を把握し、適切な法定福利費率を用いて計算することで、適正な見積金額の提示、社会的信用の向上にもつながります。
また、近年は発注者側(国・自治体)も、法定福利費の明示を厳しく求めるようになってきています。
最後に一番大事なことは、「きちんとした見積書作りは、現場の働きやすさを支える」 という意識を持つこと。
これからも正しい知識と実務力を身につけ、建設業界全体の健全な発展に貢献していきましょう!

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