建設現場の【見積書】作成|提出までの流れ
このブログでは、建設現場の見積書を作成する際の考え方についてお話ししています。
見積書作成については、様々な考え方があると思いますが、土木施工管理歴30年の私の視点でお話いたします。
見積書作成で、ポイントとなるのが【原価】の算出です
積算ソフトを使って短時間で作成しても悪くはないのですが、会社によって得手不得手があります。
そして、現場ごとに条件が変わり、過去何十年と現場をやっていても同じ現場というのはありません。
現場着手から現場完了までを、頭の中で想像(イメージ)をして、「自社歩掛」より原価をいかに精度を高く算出できるかが重要なポイントとなります。
見積書提出までの流れは以下の通りです。
- お客様とのヒヤリング
- 工事概要・図面・数量などの確認
- 現場(現地)確認
- 工程と人員・機械関係の配置計画
- 原価算出(自社歩掛)
- 諸経費の検討
- 見積書・見積条件の作成
- お客様に提出
お客様(発注者)とのヒヤリング
担当者様との顔合わせと、担当者様がどのようなイメージで工事を進めようとしているのかをヒヤリングします。
工事概要・図面・数量の確認
「見積依頼書」などの書面でやり取りするのが、意思の疎通をする上で間違いがなく確実です。
- 工事名称
- 工事場所
- 工期
- 設計図書(数量等)
- 工事の責任施工範囲
- 見積条件
- 見積書提出期限
正確な見積書作成には、資機材の見積りや納期などの確認があるため時間が掛かります。
見積対象の工種に関わるすべての資料(データ)を頂きます。
こちら側でCD-R等の電子媒体を持込み、データーをコピーしていただくか、後ほどメールで送信してもらうのが良いでしょう。
図面はCADデータで頂くと、施工図などの図面作成に便利です。
現場の確認
現地の確認をします。
担当者様と一緒に現場を歩き、具体的なお話を聞きましょう。
写真を撮っておくことをおススメします。
必要に応じて距離や面積を測量します。
小規模現場はipad proやiPhone proの機能「LiDER scanner」を使用して、現場を3Dスキャンすると簡単に距離や面積を測定することができるのでとても便利です。
作業工程・人員・機械関係の配置計画
見積する工事の工程表を作成します。
工程表をもとに人員配置・使用機械・仮設備を計画します。
人員計画は「法定福利費」を計算するのに必要となります。
場合によっては計画平面図や詳細図を作成して、金額算出の根拠として見積書と一緒に提出します。
どのような仮設をするかによって、工事の進捗や金額に大きく影響します。
ベテラン社員と一緒に、豊富な経験と知識からいろいろな仮設計画を検討してみましょう。
原価算出
先ほど計画した、人員配置・使用機械をもとにして、工事の原価を算出します。
一番大事な部分となります。
自社歩掛をもとに、原価(実行予算)を計算しましょう。
原価の把握は、お客様との金額交渉に必要となります。
経費の検討
仮設費や現場管理費を計画します。
仮設費は、運搬費や安全費などの金額です。
現場管理費は、現場代理人や主任技術者の人件費と社用車などの経費を算出します。
法定福利費は「労務費」に社会保険率を掛け算したものです。
諸経費として、本社経費と利益をどの程度上乗せするのかを検討します。
赤字にならないように会社全体で検討しましょう。
小規模工事の場合は、仮設費や現場管理費をまとめて「諸経費1式」で提出しています。
見積書の作成
見積内容を確認します。
数量や単位、金額をチェックして、正式に見積書を作成します。
見積書を作成するにあたっての「見積条件」を箇条書きで見積書と一緒に提出します。
見積書は、お客様が見やすいように分かりやすく作成しましょう。
私の勤務先ではExcelを使用して作成しています。
ダウンロードできますので、よかったら参考にしてください。
お客様に見積書を提出
担当者様に見積書を直接手渡しするのが最善だと思いますが、遠方だったりアポイントが取れなかったりする場合は、郵送やメールでの提出となります。
- 郵送での提出の場合は、送付状が必須です。
- お客様に見積書をメールで提出する場合は、データを改ざんされる恐れがあるので、PDFや画像データで送信しましょう。
終わりに
今回のブログでは、建設工事の見積書作成・提出までの流れを私の視点で解説させていただきました。
各会社で独自のフォーマットや手順があると思いますが、このブログは一例として参考にしていただけたらと思います。
基本的に「自社歩掛」を活用して、精度の高い「原価」を算出することが重要です。
経験豊富なベテラン社員さんと一緒に工事原価を算出していきましょう。
見積書提出後は、金額の交渉になります。
原価と利益分を把握して交渉に臨みましょう。
交渉成立後は、「注文書・注文請書」のやり取りを行ってから着工しましょう。
以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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