「現場密度試験【突砂法】」の試験方法を分かりやすく解説します
このブログでは、「現場密度試験」の試験方法についてお話しします。
現場密度試験は、現場の「盛土の締固め管理」や「路盤等の締固め管理」に利用されていて、「ジャーとアタッチメントによる砂置換法」、「突砂法」、「RI法」などの方法が一般的です。
今回は、実際に現場で行っている「突砂法(とっさほう・つきすなほう」について解説します。
現場密度試験の流れ
現場に行く前の準備
- 試験用砂の密度の測定
- 容器(ビニール袋)の重さの測定
- 試験用砂+容器(ビニール袋)の重さの測定
- ベースプレート部の砂の重さを計算
- 盛土材の最大乾燥密度・最適含水比の確認
現場での作業
- ベースプレートの設置
- 試験孔の掘削
- 試験孔から掘り出した土の重さの測定
- 試験孔に試験用砂を投入し、突き棒で所定の回数突く
- 残った試験用砂の重さを測定
- 推定含水比で計算して、締固め度を算出
- 試料を持ち帰り含水比試験を行う
- 報告書作成
突き砂法の測定機器
突き砂法には試料の大きさによって3種類の測定器を使い分けます。
最大粒径が53㎜以下の場合「φ15法」
最大粒径が100㎜以下の場合「φ25法」
最大粒径は150㎜以下の場合「φ30法」
使用する器具は、
- ベースプレート
- 上枠(カラー)
- 突き棒
- 直ナイフ
- キャリブレーション容器
- 試験用砂(珪砂)
- 試験孔を掘るショベル等
- ビニール袋
- 計り(電子計)
写真の器材は「φ15法」のものです。
電子計りで重さを計る場合、風のない場所で行いましょう。
実際の現場では、車の荷台が最適かと思われます。
現場に行く前の準備
試験用砂の密度の測定
試験を行う前に、試験用砂(珪砂)の「比重」を測ります。
最初に「キャリブレーション容器」の重さを測ります。
1482.0g
このキャリブレーション容器は直径15㎝、深さ15㎝なので、容器の容積は
「V=2650㎝3」
となります。
キャリブレーション容器に試験用砂を入れて、突き棒で15回突きます。
キャリブレーション容器にベースプレートを載せて、上枠をしていますが、キャリブレーション容器に直接上枠でもいいです。
直ナイフできれいに余分な砂を取り除きます。
砂の入った状態で重さを測ります。
5817.5g
珪砂の密度は、砂の入った容器の重さ(m2)から容器の重さ(m1)を引き算して、容器の容量で割り算します。
先ほど計ったキャリブレーション容器の重量1482.0gと砂の入った状態の重さ5817.5gから計算します。
試験用砂の密度=(m2ーm1)÷V=(5817.5-1482)÷2650=1.636g/㎤
となります。
この測定を3回以上行い、結果を平均して試験用砂の密度の数値として使用します。
容器(ビニール袋)の重さ
試験孔から掘り出した試料を入れる容器(ビニール袋)の重さを計ります。
ビニール袋はベースプレートがスッポリ入るくらいの大きさ(20ℓ~30ℓ)がおススメです。
試験用砂+容器の重さの測定
試験孔に入れる前の試験用砂と容器(ビニール袋)の重さを計ります。
φ15法の1つの試験孔に使用する試験用砂は5000gもあると十分です。
ビニール袋には測点や番号などを明示しておきましょう。
ベースプレート部の砂の重量
ベースプレートの厚さの分の試験用砂の重さを計算します。
ベースプレートの厚さが1㎝あります。
直径15㎝、厚さ1㎝の体積に、先ほど求めた試験用砂の比重で算出します。
盛土材の最大乾燥密度・最適含水比の確認
発注者やお客様に事前に提出している盛土材の「材料試験成績表」に記載されている【最大乾燥密度】ρ dmaxと【最適含水比】Woptを確認します。
「締固め度」の測定
実際に現場で、盛土施工した部分の【締固め度】を測定してみましょう。
盛土材料は「山砂」です。
山砂は、大昔に火山から噴き出した岩石などが風化したものです。
ベースプレートの設置
水平な地表面にベースプレートを密着させます。
試験孔の掘削
次にベースプレートの中を、ノミやショベルで試験孔を掘ります。
掘った試料は容器(ビニール袋)に入れます。
採取した試料の水分が抜けていかないように、採取後は直ちに袋を密閉します。
試験孔の深さは、次の通りです。
- φ15法は15㎝
- φ25法は20㎝
- φ30法は30㎝
15㎝掘るのは想像以上に時間が掛かります。
ノミ+ハンマーより「インパクト+ドリル」だと多少早く掘れます。
試験孔から掘り出した土の重さの測定
試験孔から掘り出した試料の「湿潤重量+容器(ビニール袋)」の重さを計って記録します。
試験孔に試験用砂を投入し、突き棒で所定の回数突く
上枠を載せて試験用砂を試験孔に入れます。
突き棒で試験用砂を試験孔の80%の深さまで突きます。
φ15法は15回、φ25法は35回突きます。
突き終わったら上枠を外し、直ナイフでベースプレートの上が平らになるように均します。
ベースプレートに残った試験用砂は袋に戻します。
残った試験用砂の重さを測定
残った試験用砂+容器(ビニール袋)の重さを計り、記録します。
これで現場での締固め度の測定は完了です。
推定含水比で締固め度を計算する
現場では、盛土が締め固まっているのかいないのかを確認して、転圧作業に指示を出さなければなりません。
しかし、実際の含水比を求めるには時間がかかるので、締固め度がどのくらいの数値なのかを、とりあえず「推定含水比」で計算します。
計算した数値が規格値以下であれば再転圧して、規格値に余裕をもって納まるように施工します。
報告書の作成
実際の含水比は、試料を持ち帰ってから含水比試験を行います。
含水比試験には「炉乾燥法」や「電子レンジ法」そして「フライパン法」があります。
含水比を求めて報告書を作成し、現場密度試験は完了となります。
終わりに
突砂法による現場密度試験の方法についてお話ししました。
- 突き砂法は試験する盛土材の最大粒径によってベースプレートの大きさが違います。
- 現場密度試験の事前準備として、試験用砂の比重をキャリブレーション容器を使って測定します。
- ベースプレート内部の砂の重量を計算します。
- ビニール袋の重さを測ります。
- 試験孔に入れる前の試験用砂の重さを測ります。
- 試験を行う際は平らな場所にベースプレートを置いて試験孔を掘ります。
- 掘り終わった試験孔に試験用砂を入れて、突き棒で所定の回数突きます。
- 突き終わったら、ベースプレートに沿って平らに均します。
- 現場では掘り出した試料から含水比を求めて結果を出すには時間がかかるので、推定含水比によって推定締固め度を算出し、盛土施工します。
- 掘り出した試料は持ち帰り、含水比試験を行います。
- 含水比を求めて正確な締固め度を算出します。
以上となります。
このブログが皆様のスキルアップにつながれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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