つり合いと反力とは?支点の反力の求め方を新入社員向けに解説
構造力学入門シリーズ 第4回|建設ナビかわしも
この記事の結論
構造物が動かないのは、力がつり合っているからです。
荷重を支点が同じだけ押し返す力を反力といい、これを求めるのが構造計算の第一歩。
反力の数が「つり合いの式3つ」でちょうど解ける梁を静定といい、電卓と紙で計算できます。
この記事では、つり合いの3条件・支点3種類・静定と不静定・反力の計算までを、新人施工管理や土木の入門者に向けて、順番にやさしく解説します。
つり合いと反力とは?(結論)
橋の上を何十トンものトラックが通っても、橋はびくともしません。重いものを支えているのに動かないのは、力がつり合っているからです。
上から加わる力を荷重(外力)といいます。荷重がかかると、支えているところ(支点)が同じ大きさの力で下から押し返します。この押し返す力が反力です。
荷重は下向き、反力は上向き。この2つがちょうどつり合うので、構造物は静止して動きません。だから、反力を求めることが、構造計算のいちばん最初の一歩になります。

つり合いの3条件(ΣH=0・ΣV=0・ΣM=0)
「つり合っている」といえるのは、次の3つが同時に成り立つときです。なお、Σ(シグマ)はギリシャ文字で「合計」を表す記号です。
| 式 | 意味 | この式が守ること |
|---|---|---|
| ΣH = 0 | 水平方向(横)の力の合計がゼロ | 横にずれない |
| ΣV = 0 | 鉛直方向(縦)の力の合計がゼロ | 上下に動かない |
| ΣM = 0 | モーメント(回転させる力)の合計がゼロ | 回転しない |
この「横にずれない・上下に動かない・回転しない」の3つがそろうと、構造物は完全に静止します。この3つが、あとで反力を計算するときの道具になります。

支点は3種類|反力の数で覚える
覚え方はこれだけ
止めた動きの数だけ、反力が生まれる。支点が動きを止める方向にだけ、押し返す力(反力)が出ます。自由に動ける方向には反力は出ません。
| 支点 | 止める動き | 反力の数 | 反力の種類 |
|---|---|---|---|
| 移動支点(ローラー) | 縦だけ | 1 | 鉛直 |
| 回転支点(ピン) | 縦・横 | 2 | 鉛直・水平 |
| 固定支点(固定端) | 縦・横・回転 | 3 | 鉛直・水平・モーメント |

① 移動支点(ローラー)= 反力1つ
コロ(丸い車輪)の上に乗っているイメージです。縦(上下)は地面が押し上げて止めるので鉛直反力が生まれます。横はコロが転がって自由、回転も自由なので、水平反力もモーメント反力もありません。止めているのは縦だけ。だから反力は鉛直の1つです。橋の温度伸縮を逃がす支承がこれです。

② 回転支点(ピン)= 反力2つ
1本のピン(軸)で梁を留めているイメージです。縦も横もピンが固定するので、鉛直反力と水平反力が生まれます。ただし回転はピンの周りで自由なので、モーメント反力はありません。止めているのは縦と横。だから反力は鉛直+水平の2つ。単純梁の片側はたいていこれです。

③ 固定支点(固定端)= 反力3つ
壁にガッチリ埋め込んだ(溶接した)イメージです。縦・横を止めるので鉛直反力と水平反力があり、さらに傾こうとするのも壁が押し戻すので、モーメント反力も生まれます。縦・横・回転すべてを止めるので、反力は鉛直+水平+モーメントの3つ。片持ち梁の壁側の付け根がこれです。

梁ぜんたいの反力を数える
支点1つあたりの反力がわかったら、次は1本の梁ぜんたいで反力を合計します。梁は両端や複数の場所を支点で支えるので、その反力を全部足し算します。
| 構造 | 支点の組み合わせ | 反力の合計 |
|---|---|---|
| 単純梁 | ピン(2) + ローラー(1) | 3 |
| 片持ち梁 | 固定端(3) だけ | 3 |
| 連続梁 | ピン(2) + ローラー(1) + ローラー(1) | 4 |
この反力の合計が、手で解けるかどうかを決めるカギになります。

静定・不静定とは?なぜ3つの式で解けるのか
反力は、大きさが最初はわからない求めたい未知数です。
その数は、いま数えた反力の合計。
一方、反力を求める道具はつり合いの式3つ(ΣH=0・ΣV=0・ΣM=0)だけで、どんな構造でも増えも減りもしません。

連立方程式と同じ考え方
中学の連立方程式を思い出してください。
文字(未知数)の数と式の数が同じなら解けます。
文字3つなら式3つで解ける。
文字4つで式3つだと、答えが1つに決まりません。
反力(未知数)と式(3つ)も、これと同じです。
| 静定(せいてい) | 不静定(ふせいてい) | |
|---|---|---|
| 反力(未知数) | 3つ | 4つ以上 |
| つり合いの式 | 3つ | 3つ |
| 手計算 | できる(○) | できない(×) |
| 代表例 | 単純梁 | 連続梁 |
静定は、反力と式がどちらも3つでぴったり。
だから電卓と紙で解けます。

不静定は反力が式より多く、つり合いの式だけでは解けません。
部材のたわみ(変形)まで計算する必要があり、コンピュータの構造解析ソフトを使います。
この記事では、手で解ける静定の梁で反力の求め方を練習します。

反力の解き方3ステップ
反力は、次の順番で解くのが基本です。この順番がとても大事です。
1ΣM = 0(片方の支点を中心に、回転のつり合い)
→ もう片方の反力が求まる
2ΣV = 0(上下の力のつり合い)
→ 残りの反力が求まる
3ΣH = 0(左右の力のつり合い)
→ 水平反力を確認(横向きの荷重がなければ 0)
計算のコツ
モーメントの基準点は、反力の1つが乗っている支点に置きます。その支点の反力は中心からの距離が0になり、式から消えるので、計算がぐっと楽になります。

計算例|単純梁に40kN
全長10mの単純梁。
左端がピン支点でA点、右端がローラー支点でB点。
左から6mの位置に40kNの集中荷重がかかっています。(kN=キロニュートンは力の大きさの単位、集中荷重=1点に集まる荷重です。)
支点の反力 Ra・Rb を求めます。
反力は上向きを+と仮定します。

1ステップ1:ΣM=0(A点を中心に回転のつり合い)
モーメントは「力 × 距離」で計算します。
荷重が右に回す力 = 40 × 6 = 240
Rb が左に戻す力 = Rb × 10
つり合い: 240 = Rb × 10
→ Rb = 240 ÷ 10 = 24kN
※ A点の反力は距離0なので回転に効かず、式から消えます。

2ステップ2:ΣV=0(上下の力のつり合い)
上向き(Ra+Rb)= 下向き(40kN) → Ra + Rb = 40
→ Ra = 40 - 24 = 16kN
3ステップ3:ΣH=0(左右の力のつり合い)
横向きの荷重がない → Ha = 0
答え: Ra = 16kN Rb = 24kN Ha = 0
検算(確かめ)
Ra + Rb = 16 + 24 = 40 = 荷重P。反力の合計が荷重と一致するので、ちゃんとつり合っています。

現場での意味と、初心者のミス
この計算は、現場では「壊れない条件」そのものです。たとえば擁壁(土を支える壁)を思い浮かべてください。
| 現場での状態 | 対応するつり合い |
|---|---|
| すべり出さない | ΣH = 0(横) |
| 沈み込まない | ΣV = 0(縦) |
| 倒れない | ΣM = 0(回転) |
つり合いの3条件は、そのまますべらない・沈まない・倒れないという安定の条件になっています。支点は、実際の橋では支承や基礎にあたります。

初心者がやりがちなミス3つ
✓反力の向きを先に仮定する(上向きを+)。あとで符号のミスを防げます。
✓可動支点と回転支点を取り違えない。反力の数が1つと2つで変わります。
✓モーメントの基準点は反力の1つに置く。式が短くなり、計算が楽になります。
まとめ(完了チェック)
つり合いと反力は、構造力学の土台です。ここがわかると、この先の勉強がぐっと楽になります。次のチェックがすべて言えれば、この単元はクリアです。
✓つり合いの3条件(ΣH=0・ΣV=0・ΣM=0)を説明できる
✓支点3種類と反力の数(ローラー1・ピン2・固定3)を見分けられる
✓梁ぜんたいの反力の合計を数えられる
✓静定・不静定を判別できる(反力の数と式3つを比べる)
✓ΣM→ΣV→ΣH の順で単純梁の反力を計算できる
✓検算(反力の合計=荷重)で確かめられる
よくある質問
Q. 反力とは何ですか?
A. 荷重を支点が支え返す力です。荷重とつり合うことで、構造物を静止させています。
Q. 静定と不静定の違いは?
A. 反力の数がつり合いの式3つと同じ(3つ)なら静定で、手計算できます。反力が4つ以上だと不静定で、式が足りず手計算では解けません(コンピュータ解析が必要)。
Q. 支点の反力の数の覚え方は?
A. 「止めた動きの数だけ反力が出る」と覚えます。ローラーは縦だけ止めて1つ、ピンは縦横で2つ、固定は縦横回転すべて止めて3つです。
Q. モーメントの基準点はどこに取ればよいですか?
A. 反力の1つが乗っている支点に取ります。その反力は距離0で式から消えるので、もう片方の反力が一発で求まります。
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