【働き方改革】の大きな目的を理解しよう
今回のブログでは、2019年に改正された労働基準法、通称「働き方改革」についてお話しします。
建設業・自動車運転業務・医師の3業種では5年間の猶予期間が設けられ、いよいよ2024年4月1日より働き方改革が施行されます。
この5年間「時間外労働の上限規制」だけがクローズアップされている中、この働き方改革が何のために施行されているのかを再確認してみようと思います。
働き方改革の基本的な考え方
「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革です。
- 日本が直面する「少子高齢化に伴う生産性年齢(15歳~64歳)人口の減少」、「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性の向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが必要です。
- 働く方に置かれた個々の事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し働く一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。
長時間労働が常態化している日本の社会において、労働者の健康を守り、もっと充実した生活を送れるようにするための措置が盛り込まれています。
具体的な改革の柱をいくつか挙げてみましょう。
時間外労働の上限規制
1つ目は、「時間外労働の上限規制」です。
これは、長時間労働を抑制し、労働者の健康を守るために設けられました。
具体的には、時間外労働には月45時間、年間360時間という上限が設けられています。
特別な事情がある場合(例えば、自然災害時の復旧作業など)には、この限度を超えることが可能ですが、その場合でも月100時間未満、年720時間以下というさらなる上限が設けられています。
この「特別な事情がある場合」を除き、これを超える労働をさせることはできません。
年次有給休暇の取得促進
2つ目は、「年次有給休暇の取得促進」です。
有給休暇の取得促進は、労働者が十分な休息を取ることができるようにするための改革です。
この取り組みにより、労働者は仕事とプライベートのバランスをより良く保つことができます。
そして全ての労働者が年に5日以上の有給休暇を取得することが義務付けられました。
これにより、有給休暇を取得しにくい職場文化が変わり、労働者が休息する権利が保障されます。
柔軟な働き方の推進
3つ目は、「柔軟な働き方の推進」です。
働き方の多様性を認め、柔軟な労働環境の実現を目指すことも、この改革の重要な柱の一つです。テレワークや時差出勤など、さまざまな働き方が推奨されています。
これにより、労働者が仕事と家庭生活のバランスを取りやすくなります。
これらの改革は、単に労働者を守るだけでなく、企業にとってもメリットがあります。
働きやすい環境は、労働者の満足度を高め、生産性の向上にもつながるのです。
しかし、実際にこれらの改革が浸透し、定着するには、企業文化の変革が不可欠です。
長時間労働が美徳とされてきた日本において、労働時間を短縮し、効率的に働くことの重要性を理解し、受け入れていく必要があります。
おわりに
日本は1990年代をピークに、生産年齢人口が減少傾向にあります。
これまでの男性中心の社会と長時間労働の文化は、男性のプライベートな時間を大きく削ぎ、仕事と私生活のバランスを崩してきました。
加えて、人口減少に伴い、労働力不足を補うために「女性」や「高齢者」がより積極的に労働市場に参加するようになりました。
しかし、これまでの長時間労働と男性中心の職場環境に、女性がそのまま参加する形となったため、働く女性が増えても少子化の問題はさらに深刻化しています。
このような背景の中で、働き方改革はただ単に労働時間を短縮するだけではなく、男性だけでなく「女性」や「高齢者」、さらには「障がいを持つ人々」など、多様な背景を持つ人々が自分らしく働ける社会を目指しています。
改革の核心は、柔軟な働き方を可能とし、個々人の生活の質を向上させることにあります。
この柔軟性が、より多くの人々が仕事とプライベートのバランスを取りながら働くことを可能にし、結果的には次世代の育成と生産性の維持、さらには国の持続可能な発展に寄与することが期待されています。
さらに、働き方改革は、企業文化や社会全体の価値観の変化も促しています。
長時間労働が美徳とされた価値観から、成果を出すこと、生産性を高めることが重視される文化へのシフトが求められています。
これにより、個々人が持つ多様な能力や生活状況を尊重し、それを生かした働き方が推進されることになります。
働き方改革の目標は、結局のところ、個々人が仕事もプライベートも充実させることができ、その結果として社会全体が豊かになることにあります。
多様な働き手がそれぞれのライフスタイルに合わせて働くことで、新たな価値が生み出され、次世代の労働力、つまり子どもたちの未来にも肯定的な影響を与えることができるのです。
皆さんも、この機会に自分の働き方を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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