施工管理
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アスファルトとは?種類と用語を現場目線でわかりやすく解説

川下 政明
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

国道・市道・駐車場・歩道・橋の舗装面など、私たちが歩いたり車で走ったりする場所の大半がアスファルト舗装です。

施工管理をする上で「アスファルトの種類が分からない」「専門用語を聞かれても答えられない」という状態は、現場で即座に信頼を失う原因になります。

この記事では、若手技術者がまず押さえておくべきアスファルトの基礎知識を、現場の視点から具体的に解説します。

アスファルトとは何か

アスファルトは石油を精製する工程で得られる、黒色の粘性物質です。
原油を蒸留した後に残る重質な残渣(ざんさ)がアスファルトの原料になります。
常温では固体に近い状態ですが、加熱すると液体に近い流動性を持ちます。

主な性質は次の3つです。

  • 防水性:水を通しにくく、路盤への浸水を防ぎます。
  • 粘り(粘着性):骨材(砕石など)を結合させてコンクリートのように固めます。
  • 耐荷重性:繰り返しの荷重に対して粘弾性(外力に対してやや変形しながら耐える性質)で対応します。

よく混同されるのがアスファルトとコンクリートの違いです。

コンクリートはセメント+水+砂・砂利で作る硬質な材料で、圧縮力に強い反面、引張力には弱く、温度変化でひび割れやすい特徴があります。

アスファルトは石油系の結合材で骨材を固めるため、適度な柔軟性があり、補修・打ち換えが比較的容易です。

現場では「アスファルトは補修しやすい、コンクリートは耐久性が高い」と使い分けます。

アスファルトの主な種類

ストレートアスファルト(一般的なもの)

原油を蒸留した後に残るアスファルトをそのまま使ったものです。
国内で最も広く使われる種類で、一般的な道路舗装に使用します。針入度(しんにゅうど:アスファルトの硬さを示す指標)で分類され、60〜80が標準的な道路用です。値が小さいほど硬く、夏場の高温に強くなります。現場では「瀝青物質」と呼ぶこともあります。

改質アスファルト(性能を強化したもの)

ストレートアスファルトに樹脂・ゴム・ポリマー・熱可塑性エラストマーを混合して性能を高めたものです。
高温での変形(わだち掘れ)に強く、低温でのひび割れも抑えられます。
交通量が多い幹線道路・バス停付近・交差点など、荷重がかかりやすい場所に使います。

種類として、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅲ型-W、Ⅲ型-WF、H型、H型-F、高耐久型などがあります。

コストはストレートアスファルトより高くなりますが、補修サイクルを延ばす効果があります。

熱可塑性エラストマー(ねつかそせい):熱を加えると軟化して流動性を示し、冷却すればゴム状に戻る性質を持ったエラストマー(常温でゴムのような弾性(ゴム弾性)を持ち、力を加えると変形し、力を除くと素早く元の形状に戻る高分子材料の総称です)

セミブローンアスファルト

流動対策(わだち掘れの防止など)として用いられる改質アスファルトの一種で、半たわみ性舗装工などにも使用されます。AC-100などの規格が定められています。

石油アスファルト乳剤(アスファルトを水で薄めたもの)

アスファルトを水中に微粒子状に分散させたもので、常温での施工が可能です。

プライムコート(路盤への浸透処理)やタックコート(層間の接着処理)として現場で頻繁に使います。
散布後、水分が蒸発するとアスファルトが路面や路盤に残ります。
乾燥が不十分な状態でその上に施工すると、接着不良の原因になるため注意が必要です。

  • カチオン乳剤:PK-1~4、MK-1~3など
  • ノニオン乳剤:MN-1など
  • ゴム入りアスファルト乳剤:PKR-Tなど(排水性舗装のタックコート等に使用)

ブローンアスファルト

コンクリート版の目地補修や、アスファルト注入材(注入孔への充填など)として使用されるアスファルトです。

アスファルト混合物の種類

粗粒度アスファルト混合物(そりゅうど)

骨材の合成粒度において、2.36mmふるいを通過する分量が20〜35%の範囲となるアスファルト混合物のことです。

主にアスファルト舗装の「基層」を構築するための加熱アスファルト混合物として用いられます。基層は、下にある上層路盤の凹凸(不陸)を平らに補正し、表層に加わる荷重を路盤へ均一に伝える役割を持つ層ですが、アスファルト舗装の基層の大部分には、この粗粒度アスファルト混合物が使用されています。

①粗粒度アスファルト混合物(20):最大粒径20㎜

密粒度アスファルト混合物(みつりゅうど)

最も一般的な舗装です。粒度(骨材の粒の大きさと割合)を密に配合しているため、空隙(すきま)が少なく、耐水性・耐久性に優れます。
一般の国道・市道・歩道に広く使用されます。表面の水は路面を流れ、側溝へ排水します。
合成粒度における2.36mmふるい通過分が35~50%の範囲のものです。

②密粒度アスファルト混合物(20,13):最大粒径20㎜と13㎜
⑤密粒度アスファルト混合物(20F,13F):最大粒径20㎜と13㎜。Fはフィラー。

細粒度アスファルト混合物(さいりゅうど)

主にアスファルト舗装の表層に用いられる加熱アスファルト混合物のうち、密粒度アスファルト混合物よりも細骨材の割合が多い材料のことを指します。

主な特徴や配合の基準は以下の通りです。

  • 配合の割合(地域による違い)
    • 一般地域:骨材の2.36mmふるいを通過する分量が50〜60%、アスファルト量が6〜8%の範囲になるように配合されます。
    • 積雪寒冷地域:2.36mmふるいを通過する分量が65〜80%、アスファルト量が7.5〜9.5%の範囲となり、一般地域よりも細骨材やアスファルトの量が多く設定されます。
  • 長所と短所
    • 一般的に耐久性に優れているという長所があります。
    • 一方で、わだち掘れなどの原因となる耐流動性には欠ける傾向があります。
  • 施工上の注意点
    • 非常にち密な混合物であるため、施工中や道路としての供用時(とくに夏期)に、内部に残った水分が温度上昇によって気化し、その蒸気圧が原因で路面が円形にふくれ上がる「ブリスタリング」と呼ばれる現象が多く発生する傾向があります。

③細粒度アスファルト混合物(13):最大粒径13㎜。
⑦細粒度アスファルト混合物(13F):最大粒径13㎜。Fはフィラー。

ギャップアスファルト混合物

ギャップアスファルト混合物とは、粗骨材、細骨材、フィラー、およびアスファルトから構成される加熱アスファルト混合物の一種です。

最大の特徴は、骨材の粒の大きさに意図的な偏り(ギャップ)を持たせた「不連続粒度」になっている点です。
具体的には、合成粒度における600μm〜2.36mm、または600μm〜4.75mmの粒径部分が10%程度以内に抑えられています。

このような特殊な粒度配合にする主な目的は、アスファルト舗装に対して以下のような性能を付与することです。

  • 耐摩耗性(タイヤやチェーンなどによるすり減りに対する強さ)
  • 耐流動性(わだち掘れなどの変形に対する強さ)
  • すべり抵抗性(車両の滑りにくさ)

代表的な種類として「細粒度ギャップアスファルト混合物」があります。
これは、2.36mmふるいを通過する量は通常の連続粒度のものとほぼ同じ(45〜65%)ですが、2.36mm〜600μmの粒が少ないため、連続粒度の混合物よりも耐摩耗性に優れているという特徴を持っています。

④密粒度ギャップアスファルト混合物(13):最大粒径13㎜
⑥細粒度ギャップアスファルト混合物(13F):最大粒径13㎜。Fはフィラー。
⑧密粒度ギャップアスファルト混合物(13F):最大粒径13㎜。Fはフィラー。

開粒度アスファルト混合物

粗骨材、細骨材、フィラー、およびアスファルトから構成される加熱アスファルト混合物の一種です。

主な特徴や規格は以下の通りです。

  • 配合の割合: 骨材の合成粒度において、2.36mmふるいを通過する分量が15〜30%の範囲となるように配合されています。
  • 路面の特徴: 施工後の路面がきわめて粗くなるという特徴を持っています。
  • 主な用途: その粗い路面状態を活かして、主にすべり止め用混合物として用いられます。

再生加熱アスファルト混合物

再生加熱アスファルト混合物とは、再生骨材に必要に応じて再生添加剤や新しい材料(補足材)などを加え、加熱して混ぜ合わせたアスファルト混合物のことです。

ここで使われる「再生骨材」とは、古くなった既存の舗装を機械で砕いたり、熱でほぐしたりして作られた骨材(アスファルトコンクリートの塊など)を指します。つまり、古くなった道路の材料を廃棄せずにリサイクルして作られた舗装材料と言えます。

この再生加熱アスファルト混合物には、これまでの会話で登場した混合物と同様に、用途や粒度に応じていくつかの種類に分けられます。

  • 再生密粒度アスファルト混合物(主に表層などに使われるち密な混合物のリサイクル版)
  • 再生粗粒度アスファルト混合物(主に基層に使われる粗い混合物のリサイクル版)

このように、私たちが普段利用しているアスファルト舗装の表層や基層の材料には、環境に配慮したリサイクル技術が活用されています。

よく使う専門用語

アスコン(アスファルト混合物)

「アスコン」はアスファルトコンクリートの略称です。
砕石・砂・フィラー(石灰石などの粉末材料)をアスファルトで混合・加熱した材料です。
舗装工事で「アスコンを敷く」「アスコンの温度を測る」という形で日常的に使います。
プラント(混合工場)から出荷された時点の温度が150〜170℃程度で、現場到着時に140℃前後が目安です。
到着時に温度が低い場合は、施工せずに返品・廃棄の判断が必要になります。

フィラー

フィラーとは、75μmのふるいを通過する鉱物質粉末のことです。主にアスファルト混合物を製造する際に、粗骨材、細骨材、アスファルトなどとともに所定の割合で混ぜ合わせて使用される材料です。

フィラーの主な役割や、使用される材料の種類は以下の通りです。

  • 役割・働き
    • アスファルトの見かけの粘度を高める働きがあります。
    • 骨材の一部として、混合物の空げき(隙間)を充てんする(埋める)重要な役割を持っています。
  • 使われる材料
    • 石灰岩を粉末にした石粉が最も一般的に使用されます。
    • それ以外にも、石灰岩以外の岩を粉砕した石粉や、消石灰、セメント、フライアッシュなどが用いられることがあります。
    • また、アスファルト混合物を製造する際に、加熱した骨材から発生する粉末をバグフィルタなどで捕集した「回収ダスト」を、フィラーとして還元使用することもあります。

プライムコート(路盤面の下地処理)

路盤(砕石層)の上にアスファルト乳剤を散布する作業です。

目的は「路盤面の防水」「路盤とアスファルト層の接着性向上」「路盤面の安定」の3つです。

  • プライムコートを施す面(路盤面など)が乾燥していることを確認します。
  • 施工面にある浮石、ごみ、土などの有害物を完全に除去し、清掃します。
  • 縁石などの構造物を汚さないように注意しながら、アスファルトディストリビュータまたはエンジンスプレーヤを用いて均一に散布します。
  • プライムコート施工後に一般交通へ開放する場合は、瀝青材料が車輪へ付着するのを防ぐため、粗目砂等を散布しなければなりません。
  • 交通によってプライムコートがはく離してしまった場合には、再度プライムコートを施工する必要があります。

タックコート(層間の接着材)

基層(きそう)の上に表層を敷く前に散布するアスファルト乳剤です。

基層と表層が一体になるように接着させる目的で使用します。

  • タックコートを施す面が乾燥していることを確認します。
  • 縁石などの構造物を汚さないように注意しながら、アスファルトディストリビュータまたはエンジンスプレーヤを用いて均一に散布します。
  • 散布したタックコートが安定するまで養生を行います。
  • 散布ムラがあると、層間剥離(はくり:層が分離してはがれる現象)の原因になります。

排水性舗装(はいすいせいほそう)

表層に空隙(くうげき:すきま)を多く確保した舗装です。
雨水が舗装内部に入り込み、下の密粒度層で横方向に流れて排水されます。
走行中の水はねを大幅に減らし、ハイドロプレーニング現象(タイヤと路面の間に水膜ができてハンドルが効かなくなる現象)を防ぎます。
高速道路や幹線道路でよく使用されます。
空隙が詰まると排水機能が低下するため、定期的な清掃が必要です。

(ポーラスアスファルト混合物)

透水性舗装(とうすいせいほそう)

雨水を舗装内部から路床まで浸透させる舗装です。
排水性舗装が横方向へ排水するのに対し、透水性舗装は縦方向(地中)へ浸透させます。
歩道・公園・駐車場など、比較的軽い荷重の場所に使用します。
地下水の涵養(かんよう:地下に水を補給すること)にも貢献します。
路床の支持力が十分でない軟弱地盤には不向きです。

締固め(しめかため:転圧)

ローラー(転圧機械)でアスファルトを押し固める作業です。
締固めが不足すると、空隙が多くなり、雨水の侵入・変形・早期劣化の原因になります。
転圧の順序は

「初転圧(ロードローラー)→

二次転圧(タイヤローラー又は振動ローラー)→ 仕上転圧(タイヤローラー又はロードローラー)」

が基本です。
締固め度の管理値は基準密度の94~96.5%以上が一般的です。
現場では「コア採取」(舗装をくり抜いてサンプルを取ること)で空隙率や締固め度を確認します。

温度管理(品質に直結する最重要管理項目)

一般的なアスファルト舗装の温度管理の基本ルールは以下の通りです。

製造・出荷時の温度: ミキサー排出時(出荷時)の温度は事前に監督職員の承諾を得た温度とし、その変動は±25℃の範囲内に収めなければなりません。また、港湾工事の基準では185℃を超えないように規定されています。

運搬時の温度低下防止: 運搬中の温度低下を防ぐため、トラックの荷台は必ずシート類で覆わなければなりません。

敷均し時の温度: 混合物を敷均すときの温度は、原則として110℃以上でなければなりません。

施工時の気温制限: 原則として、気温が5℃以下のときには舗設作業を行ってはなりません。やむを得ず気温5℃以下で施工する場合は、事前に監督職員の承諾を得る必要があります。

交通開放時の温度: 舗設完了後、一般交通に開放する際は、舗装表面温度が50℃以下になってから行わなければなりません。

アスファルト施工で最も注意が必要なのが温度管理です。
敷均し時の温度が低いと、転圧しても骨材が動かず締固め不足になります。

施工の流れ(簡単)

アスファルト舗装は「路床 → 下層路盤 → 上層路盤 → 基層 → 表層」の順で施工します(下の断面図を参照してください)。

路床は舗装全体を支える厚さ約1mの地盤です。
設計CBR(地盤の支持力を示す指標)を満足しない場合は、石灰やセメントで地盤改良します。

下層路盤は路床の上に砕石(クラッシャーラン)を敷いて締め固めます。
1層の仕上がり厚は20cm以下が基本です。

上層路盤は粒度調整砕石を使い、精度よく整形します。
この段階でプライムコートを散布します。

基層はアスコン(粗粒度)を敷均し、転圧します。
タックコートを散布してから表層施工に移ります。

表層が最終の仕上げ層です。密粒度・排水性など用途に合わせたアスコンを使います。
温度管理・平坦性・横断勾配の確認が品質管理の核心になります。

まとめ

アスファルト工事の品質は「材料の選定」「施工の順序」「温度管理」の3つで決まります。

まず覚えるべきポイントを整理します。

  • 「アスファルト混合物の種類」(粗粒度・密粒度・細粒度・再生・13F・20Fなど)
  • 「プライムコートとタックコートの役割の違い」(PK-1~4、MK-1~3、MN-1、PKR-T)
  • 「アスコンの受け入れ温度の確認と記録」
  • 「転圧の順序と温度管理」

アスコンが到着したらすぐ外観検査と温度を計測する習慣をつけましょう。

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川下 政明(かわしも まさあき)
川下 政明(かわしも まさあき)
土木施工管理技士
川下政明(かわしもまさあき)です。
土木施工管理歴30年以上のベテラン施工管理技士として、現場のリアルを発信中!
■施工管理のノウハウ
■測量のコツ・CADの活用法
■パソコンを使った業務効率化
【保有資格】
・1級土木施工管理技士
・2級管工事施工管理技士
・2級舗装施工管理技士
・測量士
・採石業務管理者など
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