【x-Rs-Rm管理図】の作り方をわかりやすく解説「エクセルデータダウンロードできます」
このブログでは、土木工事で一般的に使用されている管理図「x-Rs-Rm管理図」の作り方についてお話しします。
x-Rs-Rm管理図は主にコンクリート工の圧縮強度・曲げ強度・スランプ・空気量の品質管理に使用します。
この管理図の目的は、作業工程が安定状態にあるのか、不安定状態であるのかを判定することにあります。そして、度数分布表を棒グラフで表した「ヒストグラム」と一緒に品質管理を行います。
ダウンロードも行っています。「x-Rs-Rm管理図 Excelデータ」
よかったら使ってみてください。
x-Rs-Rm管理図
x-Rs-Rm管理図は「一点管理図」とも言います。
データ「x」と、データの移動範囲「Rs」、最大移動範囲「Rm」を組み合わせた計算値となり、「5-3-5-7方式」で管理します。
5-3-5-7方式
「5-3-5-7方式」とは、最初の5個のデータを使って次の3個のデータを管理します。
次に、5個と3個を遇わせた8個のデータで次の5個のデータを管理します。
次に、5個と3個と5個を合せた13個のデータを使って次の7個のデータを管理します。
次も同じように、5個と3個と5個と7個を合せた計20個のデータを使って、次の10個を管理します。
30個のデータを得られたら、最近の20個のデータを使って、次の10個を管理します。
このように5-3-5-7-10-10・・と管理していきます。
測定数が8点未満は作成不要です。
管理限界線
管理限界線には「上方管理限界線(UCL)」と「下方管理限界線(LCL)」があります。
UCL:Upper Control Limit
LCL:Lower Control Limit
x-Rs-Rm管理図の作り方
コンクリート28日圧縮強度のデータをもとに作ってみましょう。
コンクリートの圧縮強度は3つの供試体の平均値を1つのデータとして考えます。
平均値xを計算
試験番号1~5までの3つの供試体のデータの平均Xから平均値「ⅹ」を計算します。
平均値x=(26.2+27.6+26.7+25.4+26.1)÷5
=132.0÷5=26.4
移動範囲Rsの計算
試験番号1と2の平均Xの差、2と3の差、3と4の差のそれぞれ絶対値を計算します。
1と2の差=|26.2ー27.6|=1.4
2と3の差=|27.6ー26.7|=0.9
3と4の差=|26.7-25.4|=1.3
4と5の差=|25.4ー26.1|=0.7
Rsの合計を求めて平均値を計算します。
(1.4+0.9+1.3+0.7)÷4=1.075≒1.08
測定値の範囲Rmの計算
測定値a、b、cの最小値と最大値の差を計算します。
①27.0-25.5=1.5
②28.0-27.2=0.8
③27.8-25.8=2.0
④26.0-24.9=1.1
⑤26.6-25.5=1.1
Rmの合計を求めて平均値を計算します。
(1.5+0.8+2.0+1.1+1.1)÷5=1.30
管理線の計算
x管理図
中心線 CL=x=26.4
上方管理限界値 UCL=x+E2×Rs=26.4+2.66×1.08=29.3
下方管理限界値 LCL=x-E2×Rs=26.4-2.66×1.08=23.5
「E2」は品質管理係数を使います。
「n=2」を使用します。
コンクリート強度のように同一バッチから3個の供試体をとるような場合、3個の平均値をデータ1個と考えます。
管理係数表にn=1がないので、最小のn=2を採用しています。
Rs管理図
中心線 CL=Rs=1.08
上方管理限界値 UCL=D4×Rs=2.57×1.08=3.53
下方管理限界値 LCL=考えない
D4はnに対応したもを使用します。
Rm管理図
中心線 CL=Rm=1.30
上方管理限界値 UCL=D4×Rm=2.57×1.30=3.34
下方管理限界値 LCL=考えない
D4はnに対応したもを使用します。
管理図(グラフ)の作成
Excelでは別シートにグラフが作られるようになっております。
管理図の見方
参考にさせていただきましたhttps://www.pref.oita.jp/uploaded/life/2131130_3176259_misc.pdf
安定状態の場合
管理図で打点した結果を振り返ってみたときに次の状態であれば、その工程は安定状態にあったと考えます。
- 点が連続25点以上管理限界内にあるとき。
- 連続35点中限界外に出るものが1点以内のとき。
- 連続100点中限界外に出るものが2点以内のとき。
安定状態に無い場合
- 点が管理限界外に出た場合
工程を乱す原因が起こっていることを示す。
たとえばR管理図ではバラつきが大きくなったことことを、X管理図では平均値が変わったか、バラつきが大きくなったことを示します。
点が管理限界を出た場合は断固として処置をとりましょう。 - 点が中心線に対して一方の側に連続して現れた場合。
5点並んだときは注意を、6点並んだときは調査を、7点並んだときは処置をとります。(図a) - 点が中心線に対して一方の側に多くあらわれた場合。
連続11点中10点以上(図b)
連続14点中12点以上
連続17点中14点以上
連続20点中16点以上
が中心線に対して一方の側にある場合は工程に異常原因があると考えられます。 - 点がだんだん上昇または下降する場合。(図c)
- 点が周期的に上下する場合。(図d)
- 点がしばしば限界線に現れる場合。(図e)
終わりに
x-Rs-Rm管理図の作り方についてお話ししました。
コンクリート圧縮強度3つの供試体の平均値を1つのデータ「x」として考えて、データの移動範囲「Rs」、最大移動範囲「Rm」を組み合わせた計算値となり、「5-3-5-7方式」で、作業工程が安定状態にあるのか、不安定であるのかを管理する方法です。
管理図と一緒に、度数分布表を棒グラフにしたヒストグラムで、規格値を満足しているかを確認します。
管理図とヒストグラムの2つを1セットとして品質管理を行います。
ダウンロードできるExcelデータは、圧縮強度の測定値a,b,cを入力するだけで、管理図ができるようになっております。
x-Rs-Rm管理図は主にコンクリート工に使いますが、土工、路盤工、アスファルト舗装工はx-管理図を使います。
以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆様のスキルアップにつながれば幸いです。
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