新入社員必見!給与明細書の見方をわかりやすく解説

まさあき
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新社会人の皆さん、初めての給与明細書を手にして戸惑っていませんか?

給与明細にはたくさんの項目や数字が並んでおり、最初は何をどう見れば良いか混乱するでしょう。

この記事では、新入社員向けに給与明細の基本構成や各項目の意味をわかりやすく解説します。

基本給や残業代といった支給項目から、所得税や社会保険料といった控除項目まで網羅し、「総支給額(額面)」と「手取り額(差引支給額)」の違いや計算方法についても説明します。

また、毎月の給与明細でチェックすべきポイントや、「なぜ手取りが少ないの?」「ボーナスはどこに書いてあるの?」といったよくある疑問にも答えます。

専門用語もできるだけ簡単な言葉で補足しますので、ぜひ参考にしてください。

給与明細の主な構成要素

一般的に、給与明細書の記載内容は大きく分けて「勤怠」「支給」「控除」・「差引支給額」の項目に分類されます。

会社や明細の形式によって多少レイアウトは異なりますが、基本的な構成は共通しています。

以下では、それぞれの項目にどんな情報が載っているかを見ていきましょう。

勤怠(きんたい)情報

その月の勤務日数、欠勤日数、残業時間、有給休暇の残日数など、労働時間や出勤状況に関するデータです。給与計算の前提となる情報で、これをもとに支給額が決まります。

支給(しきゅう)項目

会社から従業員に対して支払われる賃金の内訳です。基本給や残業手当、各種手当(通勤手当・役職手当・資格手当・住宅手当・家族手当など)が含まれます。

それらの合計が「総支給額」(そうしゅうきゅうがく)と呼ばれる金額で、控除前の額面給与にあたります。

控除(こうじょ)項目

総支給額から天引き(差し引き)される項目です。

税金(所得税・住民税)や社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・40歳以上なら介護保険料など)、その他会社によっては積立金や社内預金、労働組合費などが該当します。

控除項目の合計額を差し引いた残りが実際の手取りとなります。

差引支給額(さしひきしきゅうがく)

実際に受け取る手取り額のことです。

総支給額から上記控除額を差し引いた金額で、給与明細の「差引支給額」として明記されています。

この金額があなたの銀行口座に振り込まれる給料となります。

支給項目:基本給・残業代・各種手当・支給合計

まずは支給項目について理解しましょう。

支給項目とは、勤怠情報に基づいて会社から支払われるお金の内訳です。

主な支給項目とその内容は次のとおりです。

基本給

毎月固定で支払われるベースの給料です。
年齢・勤続年数・役職・能力などに応じて決められており、給与の核となる金額です。
会社でキャリアアップすると昇給という形で基本給が上がることがあります。
(※通勤手当や住宅手当などの各種手当は基本給に含まれず、別枠で支給されます。)

残業代(時間外手当)

所定の労働時間を超えて働いた分の賃金です。
残業時間に応じて支払われ、時給(基本給+諸手当を月の所定労働時間で割った額)に割増率(通常残業1.25倍など)を掛けて計算されます。
深夜や休日の残業は割増率が更に高くなります(例:深夜残業は+25%、休日出勤は+35%など)。
会社によってはあらかじめ一定時間分の残業代を含む「固定残業手当(みなし残業代)」制度を採用している場合もあります。

各種手当

基本給とは別に条件に応じて支給される賃金です。
例えば通勤手当(交通費)、役職手当(役職者に支給)、資格手当(資格保有者に支給)、住宅手当(家賃補助)、家族手当(扶養家族がいる場合に支給)などがあります。
これら手当は企業ごとに種類や金額が異なります。
該当する手当があれば明細に項目と金額が記載されます。

通勤手当は月15万円まで非課税となります。

支給合計(総支給額)

支給項目の合計金額です。
【基本給+残業代+手当】などすべて合算した金額で、この額が額面上の給料の総額になります。
ただし、このまま全額が手元に入るわけではなく、ここから税金や保険料が控除されます。

【支給項目の合計=総支給額】は「本来もらっている収入」と言えます。
まずは自分の総支給額がいくらかを把握しましょう。
また、基本給は毎月ほぼ固定ですが、残業代や手当は月によって変動します。
残業時間が増えれば残業代が増え、逆に有給休暇消化などで勤務日数が少なければ、一部手当(通勤手当など)が日数比例で減る場合もあります。
総支給額が前月から大きく変わった場合は、その理由(残業の増減や手当の変動など)を振り返ってみましょう。

控除項目:所得税・住民税・社会保険料など

次に控除項目です。
控除とは、税金や社会保険料など給与からあらかじめ差し引かれるお金のことです。
給与明細の控除欄には、どの項目でいくら引かれているかが記載されています。
「こんなに天引きされるの?」と驚くかもしれませんが、これらは法律に基づき支払う義務のあるものです。税金は国や自治体の行政サービスの財源となり、社会保険料は私たち自身の医療や年金、失業給付の財源となる公的なお金です。
主な控除項目とその内容は以下のとおりです。

所得税

国税(国に納める税金)です。
毎月の給与に対して概算で源泉徴収されます(給与天引き)。
国の行政サービス(教育、防衛、社会インフラ等)の財源となる税金です。
所得税率は所得に応じた累進課税で、新入社員の月給程度であれば5%程度が源泉徴収されるケースが多いでしょう。
年末に1年分の収入が確定すると会社が年末調整を行い、1年間の納税額を清算します。
年末調整によって払い過ぎた税金があれば12月の給与で所得税の還付(マイナス表示)が行われることもあります(逆に不足分が追徴されることもあります)。

住民税

地方税(都道府県市区町村に納める税金)です。
住んでいる地域の行政サービス(道路・消防・ゴミ処理・福祉等)の財源となります。
住民税の特徴は前年の所得に基づいて課税されることです。
そのため、新卒で前年所得が無い場合、社会人1年目は住民税が引かれません。
翌年6月以降から前年分の住民税が給与天引き(特別徴収)で始まります。
税率は一律で所得の約10%程度(自治体により多少異なる)です。
2年目の6月に手取り額が減るのは、住民税の天引き開始が主な理由なので驚かないようにしましょう。

健康保険料

医療保険の保険料です。
会社員は会社を通じて健康保険に加入しており、病気やケガの際に医療費の一部(通常3割)負担で治療を受けられる仕組みになっています。
給与から引かれている健康保険料は、その医療給付の財源となる公的保険料です。
保険料額は給与額に応じて決まり、会社と従業員で折半します(給与明細に記載の金額は従業員負担分)。

厚生年金保険料

公的年金(厚生年金)の保険料です。
将来受け取る老齢厚生年金や、万一障害を負った際の障害年金、あるいは加入者が亡くなった場合の遺族年金などの財源となります。
健康保険同様、給与額に応じて保険料が決まり、会社と従業員で半額ずつ負担します。
現在の厚生年金保険料率は約18%(労使折半で各約9%)程度となっており、給与明細にはその従業員負担分が記載されます。

雇用保険料

失業保険(雇用保険)の保険料です。
失業したときに給付を受けられるほか、育児休業給付や介護休業給付、職業訓練の支援などにも使われます。
保険料率は給与の数パーセント以下と小さいですが、毎月の給与から天引きされます(事業所の種別によるが、一般の事業の場合2024年度は労働者負担率0.6%程度)。

介護保険料

介護保険の保険料です。40歳以上の従業員が負担します(40歳未満にはかかりません)。
高齢者向けの介護サービスの財源となる公的な保険料で、40歳以上になると健康保険料とともに天引きが始まります。
保険料率は健康保険料と一体で設定されており、加入する健康保険組合や協会けんぽによって異なります。

その他

上記のほか、企業によっては社内預金・財形貯蓄の積立金、寮費・社宅費、労働組合費、所得控除証明書の紛失再発行料(稀なケースですが)など、独自の控除項目がある場合があります。
これらは任意加入の福利厚生や会社独自の制度に関連するものです。
不明な控除項目があれば人事・経理担当者に確認しましょう。
「知らないうちに収入から天引きされていた…」ということのないよう、自分が加入・利用している制度を把握しておくことも大切です。

総支給額と手取り額の違いと計算方法

総支給額(額面)と手取り額は大きく異なります。
総支給額とは先述のとおり基本給や残業代、各種手当を含めた「控除前の給与合計」です。
一方、手取り額は総支給額から税金・社会保険料などの控除合計を差し引いた実際に受け取る金額(差引支給額)です。

計算式で表すと、

手取り額 = 総支給額 - 控除合計額

となります。

給与明細上では、支給欄の合計が「総支給額」、控除欄の合計が差し引かれる総額、そしてその差し引き後の金額が「差引支給額(手取り)」として示されています。

手取り額はどのくらい?

総支給額に対する手取り額の割合は人によって異なりますが、新入社員の場合、おおむね総支給額の80%前後になるケースが多いです。
たとえば月収25万円(総支給)であれば、約20万円前後が手取りになるといった具合です。
控除される金額は収入額によって増減します。
収入が高くなれば所得税・住民税が増えるため手取り割合は下がりますし、逆に収入が低ければ社会保険料や税金も少なく手取り割合はやや高くなります。

また、住民税が引かれていない1年目より、住民税が開始する2年目以降のほうが同じ総支給額でも手取りはさらに少なくなります。
毎年9月には社会保険料の定時改定(前述の4〜6月の平均給与に基づく保険料見直し)もあるため、9月給与から健康保険・厚生年金の控除額が変わることがあります。
このように、手取り額は常に総支給額よりかなり少ないものだと認識しておきましょう。

毎月の給与明細でチェックすべきポイント

給与明細はただ手取り額を見るだけでなく、内容をしっかりチェックする習慣をつけることが大切です。
毎月確認すべき主なポイントをまとめます。

  1. 勤怠欄の確認:
    出勤日数・欠勤日数・残業時間などが正しく反映されているか確認しましょう。
    タイムカードの打刻ミスや申請漏れがあると残業代などに影響します。
    また勤怠欄には有給休暇の残日数が記載されていることもありますので、残り何日使えるか把握しておくと良いでしょう。
  2. 支給項目の確認:
    基本給が契約どおりの金額か(昇給・減給があれば反映されているか)、残業代が残業時間に見合った額になっているかを確認します。
    残業時間や深夜・休日出勤が発生した場合には、その割増賃金が正しく計算されているかも重要です。
    例えば「休日深夜に残業したのに平日の残業と手当額が同じ」という場合は、割増率の適用ミスの可能性があります。
    また各種手当についても、支給条件を満たしているのに支給漏れがないかチェックしましょう。
    通勤手当は通勤経路の変更届を出し忘れると正しく支給されないことがありますので注意が必要です。
  3. 控除項目の確認:
    天引きされている税金・社会保険料の内容と金額を確認します。金額そのものは自分では計算しにくいですが、項目に見慣れないものがないかチェックしましょう。
    たとえば40歳になった月から介護保険料の控除が新たに始まります(明細上で急に介護保険料の項目が追加される)。
    また、2年目から住民税の控除がスタートすると、6月以降の明細で住民税の項目と金額が記載され手取りが前月より減ります。
    こうした変化があった場合、その理由を把握することが大切です。
  4. 差引支給額(手取り)の確認:
    最終的な手取り額が想定通りの金額か確認します。
    基本的には総支給額から控除額を引いた金額ですが、もし明細に記載の手取り額と実際に振り込まれた金額が違う場合はすぐ会社に問い合わせましょう。
    振込額が明細と一致していることを確認するのも重要なポイントです。
    最近はネットバンキングで給与振込額をすぐ確認できますので、明細の差引支給額と見比べてみると安心です。
  5. 前月との比較:
    毎月の給与明細を継続的に見比べる習慣を持ちましょう。
    前月から金額が変動している項目はどこか、その変動はなぜ起きたのかを調べてみると、給与の仕組みへの理解が深まります。
    特に支給額や控除額が大幅に増減した場合は、その理由(残業の増減、各種保険料率の変更、扶養家族の有無による税額変更など)を確認すると良いでしょう。

初任給でもよくある疑問Q&A

最後に、新入社員が初めて給与明細を受け取ったときによく抱く疑問について解説します。

Q1. 手取り額が思ったより少ないのはなぜ?

A. 控除で税金や社会保険料が差し引かれているためです。

総支給額に対して2割以上天引きされる場合もあり、たとえば月収25万円でも約20万円しか手取りに残らないことがあります。
特に新卒1年目は初めて健康保険料や年金保険料を自分で負担するため、「こんなに引かれるの?」と驚く人が多いようです。
しかし、これら控除額は医療や年金など将来の自分を支える社会保障や行政サービスの費用であり、法律で定められた必要な負担です。
手取り額だけを見るのではなく、何のためにどのくらい差し引かれているのかを理解することが大切です。

Q2. ボーナス(賞与)は給与明細のどこに書いてあるの?

A. ボーナスは通常、**給与明細とは別の「賞与明細」**として支給時に発行されます。

多くの会社では年に1~2回(夏季・冬季など)賞与が支給され、その際に給与とは別の明細書が配られます。
賞与明細にも支給額と控除額が記載され、社会保険料や源泉所得税が差し引かれた残額が手取りの賞与額となります。
したがって、通常の月々の給与明細にはボーナスの金額は載っていません(賞与支給月でも別紙になっている場合が一般的です)。
自分の賞与がいくら出たか知りたいときは、その都度配布される賞与明細を確認しましょう。

Q3. 社会人1年目なのに「住民税」が明細に載っていないのはなぜ?

A. 住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、新卒で前年収入がない場合、1年目の給与からは住民税が引かれないのが普通です。

住民税の天引き(特別徴収)は社会人2年目の6月から始まります。
そのため1年目の給与明細の控除欄に住民税の項目がなくても心配いりません。
ただし2年目以降は毎月引かれるようになるので、手取りが減る分を見越しておくと良いでしょう。

Q4. 給与明細は保管すべき?

A. 給与明細の保管は法的義務ではありませんが、後でローン審査や所得証明に使えるので最低でも3年分は保管するのがおすすめです。

まとめ

初めて見る給与明細には、基本給や残業代、各種手当から税金や保険料まで様々な項目が並び、最初は戸惑うかもしれません。

しかし、本記事で解説したように、それぞれ「何のお金で、なぜ引かれるのか」が理解できれば怖くありません。

総支給額と手取り額の違いや、各控除項目の役割をしっかり把握しておくことは、新社会人として自分の給与を管理する第一歩です。

毎月の給与明細をただファイルにしまい込まず、ぜひ内容をチェックし続けてみてください。

そうすることで、支給額や控除額の変化に気づきやすくなり、自分の働き方やお金の使い方を見直すきっかけにもなります。

疑問に感じたことはそのままにせず、人事担当者や先輩に質問するのも良いでしょう。

給与明細はあなたの働きの結果と大切なお金に関する情報です。

しっかり読み解いて、賢く活用してくださいね。

※本記事は2024~2025年時点の法制度・税制に基づいて執筆されています。最新の税率や保険料率は年度によって変わる可能性がありますので、必要に応じて公式情報も確認してください。

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川下 政明
川下 政明
土木施工管理技士
川下政明(かわしもまさあき)です。
土木施工管理歴30年以上のベテラン施工管理技士として、現場のリアルを発信中!
■施工管理のノウハウ
■測量のコツ・CADの活用法
■パソコンを使った業務効率化
【保有資格】
・1級土木施工管理技士
・2級管工事施工管理技士
・2級舗装施工管理技士
・測量士
・採石業務管理者など
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