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会社と現場を行き来する日常の中で、もっとも多い労災の一つが「通勤災害」です。
通勤途中の事故は、個人の問題だけでなく、会社全体の信頼にも関わります。
この記事では、社内講習用に整理した「通勤途中の事故発生時の対応マニュアル」を紹介します。
自損事故・対人事故・物損事故の3つのケースに分けて、対応の流れと注意点をまとめました。
通勤災害とは?
通勤途中の事故は、条件を満たす場合に「労災保険」の対象になります。
- 自宅と勤務先の合理的な経路・方法による通勤中の事故
- 経路途中の日常的で合理的な寄り道(会社命令でリース会社へ立ち寄りなど)はOKの場合もあります。
- 一方、私的な用事(子どもの送迎・買い物など)は対象外になる場合があります。
事故が発生したときの共通対応手順(全事故共通)
① 安全確保(最優先)
・車両を安全な場所に停め、ハザードランプ・三角表示板を設置します。
・二次災害を防止する行動を最優先に行います。
② 負傷者の確認と救護(119番通報)
・けが人の救護を最優先に
・応急処置を行い、速やかに救急車を手配
③ 警察への通報(110番)
・軽微な事故でも必ず警察に連絡し、「事故証明」を取得
・この証明がないと保険申請や労災申請に支障が出ます
④ 会社への連絡
・上司または総務担当に即時報告
・発生場所、時間、状況、けがの有無を正確に伝える
⑤ 保険会社への連絡
・任意保険・会社の通勤災害申請の準備を同時に進める
自損事故の場合
例:
- スリップしてガードレールに接触
- 縁石乗り上げ、タイヤバーストなど
対応手順
- 自身・同乗者のけがの確認
- 警察へ通報し、事故証明を取得
- 上司・会社へ報告
- 任意保険会社へ連絡
- 車両修理・通勤経路の見直し
再発防止策
- 雨天・降雪時の速度抑制と早めの出発
- タイヤ・ワイパー・ライトなどの日常点検
- 眠気・疲労・スマホ操作の禁止
対人事故の場合(歩行者・自転車との接触など)
初動対応(最優先)
- 負傷者の救護・119番通報
- 警察へ通報(現場を動かさない)
- 会社へ即時報告(人身事故は最優先)
- 当事者の氏名・連絡先の確認
- 保険会社へ連絡
注意点
- 現場での示談・金銭のやりとりは絶対にしない
- 会社・保険会社の指示に従って行動する
再発防止策
- 出勤時に余裕を持った出発
- 横断歩道・交差点では必ず徐行・一時停止
- 自転車や歩行者に対する「思いやり運転」
物損事故の場合(他車・塀・施設など)
対応手順
- 相手方や所有者を確認
- 警察へ通報し事故証明を取得
- 相手方へ誠実な対応(逃げない・否定しない)
- 会社・保険会社へ報告
- 修理費用などは保険対応で処理
再発防止策
- 狭い道路や駐車場での後方確認を徹底
- 右左折時の巻き込み注意
- 夜間や冬季は早めのライト点灯
会社への報告と対応の流れ
区分 | 連絡先 | 報告内容 | 担当部署 |
---|
初報 | 上司(電話) | 発生状況・けがの有無 | 本人 |
詳細報告 | 総務課 | 事故報告書・写真・警察証明 | 総務 |
労災申請 | 労務担当 | 通勤災害届・診断書等 | 総務 |
再発防止検討 | 安全衛生委員会 | 原因分析・改善策 | 管理部門 |
まとめ:慌てず・正確に・誠実に
通勤途中の事故も、会社の信用に直結します。
「事故を起こさないための意識」と「万が一のときの正しい対応」が重要です。
- 毎日の車両点検と安全運転の意識
- 事故発生時は「安全確保」「救護」「報告」を最優先
- 慌てず、正確に、誠実に対応すること
ABOUT ME
川下政明(かわしもまさあき)です。
土木施工管理歴30年以上のベテラン施工管理技士として、現場のリアルを発信中!
■施工管理のノウハウ
■測量のコツ・CADの活用法
■パソコンを使った業務効率化
【保有資格】
・1級土木施工管理技士
・2級管工事施工管理技士
・2級舗装施工管理技士
・測量士
・採石業務管理者など
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